■澄川龍一
長いようで短かった歓喜の行進も、悲しいけれどこれで本当におしまい。あらゆる想いをひとつにして最後に彼女が提示したのは、“パレードそのもの”と“パレードその先”を同時に語る壮大なバラードだった。これまでの道のりに孤独があったかもしれないけど、どこかで必ず人の温かさに触れるのだと教えてくれるようで、本作のテーマのひとつであろう“みんな”へ、祝福が漏れなく降り注ぐようでもある。「パレードは終わらない/永遠に」。そう、終わりは始まりでもあるのだ。
■冨田明宏
『Parade』から作曲で参加した藤末樹は、「光」、「花束」、そして「everlasting...」と、特に茅原の感情面が表出した楽曲を手掛けており、どれも印象深い。その中でも、ラストを飾ったこの楽曲の純良なメロディは、言葉を失わせるほどに美しい。そのタイトルの通り、永遠の誓いを綴る茅原の背中をそっと支えるようなアレンジも素晴らしく、力強く未来への希望を言葉にした歌詞と合わさり、荘大な世界観を生み出した。ラストを飾る歌詞の一節を胸に秘めながら、これからも彼女の成長を見つめ続けていたくなる。そんな思いを抱かせる名曲だ。
■永田寛哲
パレードの終局を飾るのは、壮大なオーケストラをバックに配したバラードソング。ピアノとストリングスを主体としたサウンドと茅原のヴォーカルが混沌と溶け合い、爽やかな余韻と深い感動を与えてくれる。また、本曲のラストフレーズこそはアルバム全体の締めとなる重要なキーワードで、ついにアルバムは大団円を迎える。
■前田久
アルバムの最後を彩るのは、チェンバロ風のキーボードとピアノトーンが混在し、そこにストリングスが絡み合って中心に構成された壮大なバラード・ナンバー。メロディ、編曲ともにポップソングの王道を感じさせるものに仕上がっており、こうした楽曲をラストにおけるあたり、茅原の実力はもちろん、プロデュースサイドの茅原への絶大な信頼が伺える。ただひたすらに美しい。
■渡邊純也
アルバム『Parade』はこの曲で感動的に締めくくられる。
人生は繰り返しだけど、それがとても素晴らしいことで、
当たり前のことだけど、それに気づくことは案外難しくて。
朝起きて、カフェでお茶をして、友達と会って、楽しい食事をして、
家に帰って、孤独を感じて、たまには本を読んで眠れなくなって。
そんな自分の生きている、ありのままの世界を自然に受け入れる。
そうしていつの間にか増えた仲間や記憶は、自分を支えるパートナーになる。
《これまでの長い道のりが かけがえのないわたしの証明
全部抱きしめて 全部連れてくの 何も怖れない》
こうして呼吸をして生きているだけで、誰かのためになっている。
決して一人ではない、誰かに何かを与えているんだよ、と。
これから先、旅を続けていく勇気をくれる曲。
この曲でパレードは”永遠”のものとして”終演”するのだ。
クロスレビュアー
>> 澄川龍一
78年生まれのアニメ/音楽/シナリオ・ライター。アニソンマガジン(洋泉社)、アニカン(アニカン)、声優グランプリ(主婦の友社)、CDジャーナル(音楽出版社)などで執筆中。
>>冨田明宏
80年生の音楽ライター。『bounce』、『CDジャーナル』、『クッキーシーン』、『テレビブロス』などに執筆。『アニソンマガジン』、『オトナアニメ』、『アニカンR-music』、『エクス・ポ』でアニソンの真剣評論も展開中。著書に『同人音楽を聴こう!』(共著)など。
>>永田寛哲
アニメソング専門誌『アニソンマガジン』編集長にして、編集プロダクション・ユービック代表。 11/29に『テクノ歌謡ディスクガイド』(扶桑社)が発売されます。
>>前田久
1982年生。ライター。通称“前Q”。主な執筆媒体に『オトナアニメ』(洋泉社)、『アニソンマガジン』(〃)、『月刊Newtype』(角川書店)、『まんたんブロード』(毎日新聞社)など。
>>渡邊純也
構成作家。「涼宮ハルヒの憂鬱 SOS団ラジオ支部」「らっきー☆ちゃんねる」「radio minorhythm」「yozuca* MUSIC-GO-ROUND」などを手がける。