R&B風のミディアム・ナンバー、というまた新しい一面が見られる楽曲だ。冒頭のエフェクトが入ったコーラスもそうだけど、エレピの柔らかい旋律と歩調を合わせるように丸みを帯びた声を存分に堪能できる、トラック／ヴォーカルともにまた新たな引出しを見せたと思わせる一曲。メリーゴーランドにうさぎ、アコーディオンといった幻想的な単語や中盤のワルツ・パートなど、ここに来て『Parade』のテーマ・パーク的なヴァラエティー性を聴かせてもくれる。

Tatshの編み上げたR&B調の軽やかなメロディを、大久保薫がスタイリッシュで温もり溢れるアレンジに仕上げている。レコード・ノイズや、途中で差し込まれるメリーゴーラウンドを想起させるサウンドなどなど、さり気なくも凝りに凝ったアレンジがたまらない。このアルバムのジャケット・イメージを基調にしたような、こだまさおりの歌詞も実に味わい深い世界観を生んでいる。

ここまでの曲調から一点、R&B的なクラブミュージック風の展開を見せる。一瞬、前作「Cynthia」を想起させたが、また一味違った軽やかさを感じるナンバーで、ブレイクビーツのリズムに爽やかな音色、そして歌われるのは、あくまでスウィートな世界観。「FairyTale（おとぎ話）」ならぬ「Fairy Tune（おとぎ曲）」というタイトルどおり、夢見心地な一時を提供してくれる。

　全体の構成からみて、最初の小休止的にあたるような一曲。落ち着いたテンポと流麗なメロディー、フリーソウル風のツボを押さえたストリングスは、クラブユースも可能な出来栄えだ。もちろん、柔らかな歌唱も絶品。中盤に挟まれる幻想的なパートも、アクセントになって耳を飽きさせない。

オープニングで左右のステレオにパンニングされるボーカル。
タイトルのとおり、とってもファンシーな曲。
さまざまなサンプリング音源が取り入れられていて、
まるで遊園地にいるような心地よい浮遊感を味わうことができる。
アルバムジャケットは茅原の夢の光景を表現したものだという。
この曲も彼女が創り上げた遊園地のアトラクションなのだろう。
横ノリのリズムでゆらゆらと優しい音楽に身をゆだねてみよう。
そうすれば童話のように音符を抱えたフェアリーたちが、
Paradeのイメージ世界へと誘ってくれるはずだから。