前作では「ふたりのリフレクション」という茅原実里のブライトネスを発見した名曲があったけど、今回も虹音のペンによるまたしても陽のみのりんが輝く一曲が生まれた。とにもかくにもサビでの素晴らしいメロディーに尽きるのだけど、それを彩るキラキラとした音の粒、そして高く伸びる彼女だけの声。タイトルのとおりそれらみんなを巻き込んでの歓喜のマーチが出発するのである。そんななかでチラリと覗かせる「楽しいのに淋しいね」なんて言葉に、個人的にはグっときてしまった。そして、まだまだパレードは続くのだ。

メロディ、そしてマーチの要素に1曲目「透明パークにて」からの引用が見られる、このアルバムを象徴する楽曲のひとつ。どこまでもビートフルで、どこまでもポップなメロディの疾走感に圧倒されるだろう。キラキラと眩いシンセ・サウンドの瞬き、ストップ＆ゴーが多用されたキャッチーな構成も素晴らしい。「猫の眠りが覚める」という歌詞も飛び出す、茅原の歌声も実に楽しげだ。

イントロに仕込まれたアシッドなフレーズも面白いが、あくまでも味付け程度。楽曲全体を通貫する世界観は、ドライブ感あふれるギターサウンドだ。ここに茅原の陽性な魅力にあふれたヴォーカルが加わることで、王道ポップ・サウンドが奏でられている。Ａメロの「人生は始まりが終わりへの旗見つめることだから」というフレーズも実に味わい深い。

　「Lush march！」の語感とメロディが耳に残る、キャッチーな雰囲気を持ったポップ・ロック。高速16ビートに切れ味のよいシンセのリフと、艶やかなギター・カッティングの生み出す躍動感もたまらない。

アルバム『Parade』で唯一タイトルに『march』と称されている曲。
その行進曲と呼ぶに相応しい、人生の門出と出発を祝福する賛歌である。
オープニングを飾った『透明パークにて』で静寂に流れたメロディーは、
この曲で足早にテンポアップする。
トランス仕立てのシンセが奏でるビート、疾走感溢れるギター、
心を打つ鐘の音･･･ひとつひとつ探っていったらキリがないほどの音像が
至るところに演出された茅原実里のポップサイドなナンバーに仕上がった。
人は少なからず誰かに影響を与えて次の場所へと出発していく。
その出会いを通し、《カナシイ、キミ》だった登場人物は、
次のコーラスでは《ヤサシイ、キミ》と歌われている。
道化師が奏でる《Original rhythm》に合わせて、笑顔で行進していこう。
その先には必ず希望が待っているから。