アルバムの終局へ向けてドラマティカルに展開していくなかで響き渡る、高揚感溢れるアッパー・チューン。高速ビートで疾走する菊田大介アレンジらしさも漂わせつつ、ストリングスを封じてギターのドライヴ感で引っ張っていくという、また一味違うコズミックな趣きが新鮮だ。そのなかでキャッチーなメロディーを刻むサビでの、大気圏を抜けて伸びゆくようなヴォーカルが実に心地良い。ハイスパートな空気のなかでの浮遊感はまさに無重力体験のカタルシスだ。

Tatshがこれまでに志向してきたトランスを、可能な限りポップで爽やかな歌モノに仕立て上げた楽曲。「Paradise Lost- at next nest」で得たスピードをさらに過激にドライヴさせ、疾走感を限界まで引き上げたビート感がすごい。四つ打ちに四分打ち、16分で刻むビートまで、聴き手を飽きさせない細やかなアレンジが楽しい。よくこんな曲が乗りこなせるなと、思わず驚嘆せずにはいられないだろう。

ここまで続いたへヴィネスをようやく抜けた感のある、ポジティブなチューン。イントロのフランジャーも賑やかな、ギターをフィーチャーしたトランシーなサウンドと、無機質なコーラスがサイバーな雰囲気を醸しており、まさに未来を想起させる。もちろん、彼女の淡々とした、それでいてハイスピードで畳み掛けるような歌唱がフィットしないはずも無い。

　シリアスなメロディーラインを持ちながら、どこか開放感がある楽曲。開放感のあるギターリフや奔放に暴れまわるリズムトラック、随所に入るシンセの決めフレーズで構築された隙の無いトラックは、聞き応えはポップなのだが歌い手にとってはなかなかに難曲だろう。実にさりげなく歌い上げる茅原のボーカリストとしての地力には脱帽するほかない。

ギターメインで紡がれていくバンドサウンドに茅原実里が全力で応えている。
躍動感いっぱいにエネルギッシュに発せられるヴォーカルはまさに決意表明。
輝き失せることのない、自分だけの未来。
その運命の糸を手繰り寄せることができるのは、自分自身の力に他ならない。
イントロ・アウトロで繰り返される《信じてるわたしのFUTURE STAR》という歌詞に、
夢に向かって確実に前進している夢追い人の姿が重なって見えてくる。
そして気づいた。その夢追い人とは僕たちリスナー一人ひとりのことなのだと。